「やさしい日本語」でつくるやさしい街

街のサインをもっとわかりやすく。

みなさんは、街の中でこんな経験はありませんか?
「これ、なんて書いてあるんだろう…」
駅の案内板や役所の窓口、避難所の掲示など、私たちの暮らす町には文字があふれています。
でも、その中には「日本語だけどわかりにくい」ものが意外と多いんです。

近年、英語や中国語など多言語での表示が進んでいますが、日本語自体がむずかしいままだと、
外国から来た人や日本語が得意でない人にはハードルが高いまま。そこで注目されているのが「やさしい日本語」です。

わかりにくい街の言葉、どんなものがある?

たとえば、こんな表現を見かけたことはありませんか?

  • 「運転を見合わせています」
    → 電車が止まっているけど、初めて聞くとピンとこない表現です。
  • 「徐行してください」
    → 「徐行」って? ゆっくり走ることなんですが、難しいですよね。
  • 「避難指示発令中」
    → 災害時にこれだけだと意味が伝わりにくく、命に関わる場面ではとても大切です。

こうした言葉は、日ごろ使っている日本人でもわかりづらいことがあります。
ましてや、日本語が母語でない人にとっては「暗号」に見えてしまうことも。

「やさしい日本語」にするとどう変わる?

言葉を少し変えるだけで、グッと伝わりやすくなります。

元の表現やさしい日本語
運転を見合わせています電車が止まっています
徐行してくださいゆっくり走ってください
避難指示発令中安全な場所へにげてください

コツは、専門用語を避けること、短くすること、状況をわかりやすく説明すること。
さらに、ピクトグラム(イラスト付きの案内表示)や色分けを使えば、読む人の負担を減らすことができます。

すでに始まっている「やさしい街づくり」

実は、こうした工夫はすでに全国各地で広がりはじめています。

たとえば、ある自治体ではホームページをやさしい日本語で閲覧できるようにしています。鉄道会社では「電車が止まっています」といった、簡単な言い方の緊急放送を導入。役所や病院、図書館でも、やさしい表現を使ったサインや案内表示が増えてきました。

こうした取り組みは、外国人の方だけでなく、お年寄りや子ども、日本語が苦手な人たちにとっても心強いサポートになります。

「誰にでもやさしい」って、街を変える力になる

「やさしい日本語」は、外国人向けの特別なものではありません。
もともと、日本語が母語の人でもすぐに理解できるように工夫された言葉です。

誰もが安心して情報を受け取れることは、地域全体の力になります。災害が起きたとき、急に道を尋ねられたとき、毎日の暮らしのなかで。「これで伝わるかな?」と一度立ち止まるだけで、街は少しずつやさしく変わっていくのです。

おわりに|今日からできる一歩

街を歩きながら、「この案内はわかりやすいかな?」と気にしてみること。それだけでも、発見がたくさんあります。

そして、もし地域でサインや案内板を見直す機会があれば、ぜひ「やさしい日本語」という視点を取り入れてみてください。
あなたのひと声が、街のやさしさを育てるきっかけになるかもしれません。